『サクラ大戦~alleluia~』7:第三章「彷徨う天使」

サクラ大戦~alleluia~
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ロベリア「くっ…ちくしょうっ………うっ……あぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!!」
 
彼女はガバッとベッドから起き上がった。
 
 
グラン・マ「気が付いたかい?」
 
ロベリア「…はぁっ……はぁ……ここは…??」
 
グラン・マ「医務室さ。ついさっきコクリコも花火も目を覚ましたよ」
 
エリカ「ロベリアさんっ!…よかった……」
 
ロベリア「…エリカ…。……。…アタシ達は…負けたのか……」
 
エリカ「……」
 
コクリコ「…しょ、しょうがないよ!…みんな生きてたんだしさ……次頑張ろうよっ!!」
 
無理矢理つくった精一杯の笑顔で皆に声を掛ける。
 
 
エリカ「……3日後…午前0時にノートルダム寺院に来いって言われました……」
 
花火「三日後…という事は、あと二日しかありませんね…」
 
ロベリア「フッ…言ってくれるじゃないか。アタシを生かしておいた事、後悔させてやるよ…」
 
グラン・マ「……」
 
ロベリア「……グリシーヌは?」
 
ロベリアは軽く周りを見回した。
 
花火「まだ寝てますわ。そのうち目を覚ますでしょう」
 
グラン・マ「……その事についてちょっと話があるんだ」
 
コクリコ「えっ!?グリシーヌになにかあったの!?」
 
グラン・マ「……隠していても仕方がないからね。はっきり言うよ。…グリシーヌは目を覚まさない」
 
エリカ「っ!?」
 
グラン・マ「…体には掠り傷さえあるけど、致命的な外傷はないんだ。…そこでさっきいろいろ調べてみたんだけどね……。帝国華撃団に過去、全く同じ症例があったよ。言うところの『トランス状態』ってやつさ…」
 
花火「トランス……状態…?」
 
グラン・マ「そうさ。脳と肉体に大きな衝撃となにかしらの妖力が作用して、グリシーヌはある種のショック状態に陥っている…。すぐに起きるかもしれないし、ずっと目を覚まさないかもしれない…」
 
そう。過去にさくらに起きたあの症状が、今再びグリシーヌに起きてしまったのだ。
 
グラン・マ「いいかい?この事は絶対外部に洩らすんじゃないよ?」
 
コクリコ「うん…」
ロベリア「チッ……」
 
皆がそれぞれ物言わず俯いた。
 
 
エリカ「…私の……せいだ……私が…私が……っ!!」
 
そう言ったとたん、エリカは部屋を飛び出した。
 
コクリコ「エリカっ!!」
花火「エリカさんっ!!」
 
二人はエリカを追い掛けようとする。
 
グラン・マ「待ちなっ!今あんた達が行ってどうなる!?何もしてあげられやしないさ!!」
 
グラン・マは檄を飛ばした。
 
花火「それでも……私は行きますっ!」
コクリコ「ボクも行くっ!」
ロベリア「…あの馬鹿…っ!」
 
言うなり三人はエリカの後を追った。
 
 
グラン・マ「…まったく。……グリシーヌ…早く目を覚ますんだよ…」
 
グラン・マは近くにあった椅子に座り、ぼぉっとベッドに横たわったグリシーヌを見つめていた。
 
 
 
 
外は、いつかにエリカを捜していた日と同じ大雨だった。ロベリア達は傘もささずにひたすらエリカを捜している。
 
ロベリア「…ったく!どこ行きやがったんだエリカのヤツ!!」
 
コクリコ「もう大体捜したよ!?広場もカフェも橋も…」
 
花火「…もし私がエリカさんだったら……。……っ!!肝心な所を忘れていました!」
 
 
その頃、エリカは一人教会にいた。
 
 
エリカ「……神よ……私は…どうすればよいのでしょうか……。私は…大神さんの代わりなんてできません…。もう戦いたくない…。みんなが私のせいで……」
 
エリカの瞳から大粒の涙が流れた。
 
エリカ「私は…強くなんてなれない…。…いつまでたっても…ドジでマヌケで……いつまでたっても……弱いまま……」
 
 
バタンッ
 
 
コクリコ「エリカっ!!」
花火「エリカさんっ!!」
ロベリア「やれやれ…」
 
エリカ「っ!?みんなっ!?!」
 
ずぶ濡れになりながら3人が近付くも、エリカは振り向かない。
 
 
花火「エリカさん…シャノワールに戻りましょう?皆さん心配していますよ?」
コクリコ「ほっ、ほら!今戻ってきたら、特別にプリンおごってあげる!!」
ロベリア「……」
 
 
エリカは背を向けたまま答える。
 
エリカ「…皆さん…ありがとうございます…。でも…すみませんけど……ちょっと…一人にしてください……。…お…願い…します……。」
 
涙が邪魔して、最後まで言うのが精一杯だった。
 
 
ロベリア「……帰るよ」
 
コクリコ「でっ…でもっ…!!」
 
花火「行きましょうコクリコ…」
 
ロベリア「……二日後……アタシ達はギリギリまで、アンタの事待ってるからな…」
 
そう言うとロベリア達は教会を出た。
 
 
エリカ「…みんな……」
 
エリカは振り向き、3人がさっきまでいた場所をじっと見つめていた。
 
 
コクリコ「…グラン・マの言った通りだったね…」
 
花火「えぇ…。でも私は会えてよかったです…」
 
コクリコ「うん…ボクも。…ねぇ……こんな時イチローなら……エリカになんて言うんだろ……」
 
ロベリア「……さぁね…」
 
ふと気が付くと、もう辺りは暗くなっていた。
 
 
 
 
次回

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