-夢桜・帝都-
上野公園での一件の後、七瀬を含めた8人はホテルに戻っていた。
マリア「それじゃ…聞かせてもらおうかしら」
七瀬「はい…。…まず…先程言った通り、私もあの『桜樹』も…桜の精なのです」
マリア「この……えっと…『夢桜』にも、降魔がいるの?何故私達を……」
七瀬「どうやって召喚したかまでは分かりませんが…。今もう既に、この世界と貴方達の世界を繋ぐ……降魔が通れるくらいの穴は開いているとしたら…」
カンナ「あたい達の世界に降魔がっ……!?今の華撃団には帝巴合わせて……。……。え~っと…ん~と……」
グリシーヌ「5人だ」
カンナ「あっすまねぇな!…そう、5人しかいねぇんだ!!ちょっとばかしマズいだろ……」
七瀬「すみません…貴方達の世界の事を考えずに呼び出してしまって……」
エリカ「いいですよ、気にしないで下さい♪七瀬さんが呼んでくれなきゃ、さくらさんは見つかりませんでしたから!」
エリカは七瀬の肩をポンポンと軽く叩く。
エリカ「それに、皆さんならきっと大丈夫ですよ!わたし、信じています!」
七瀬「エリカさん…」
エリカの笑顔に引き寄せられるように、七瀬の頬も緩んでいった。
アイリス「ねぇねぇ、『桜の精』っていうのは二人しかいないの??」
七瀬「いいえ…。昔はたくさん仲間がいて、一人約1000本の桜の樹を管理していました」
アイリス「昔って……今は?今は友達いないの??」
七瀬「……私はさっき桜樹に『何が貴方を変えたのかは知らない』と言いましたけど…本当は知っているんです。……外の町並みをご覧になりましたか?」
グリシーヌ「あぁ。あの時は何も言わなかったが…。何故あそこまで朽ち果てているのだ?まるで荒れ地だ…」
七瀬「…戦争です。人々は皆、己の欲望の為に、戦争…戦争…。当然被害は大きくて…。今この日本に、桜の樹は約100本弱しか残っていません…。その時に……みんな…みん…な……」
七瀬は瞳の潤みを隠すように俯いた。
エリカ「…ひどい…」
ロベリア「…だから桜樹は人間達に復讐を…ってとこか。けど…なんで復讐が、アタシ達の世界と一つになる事と関係あるんだ……?」
大神「…七瀬くん…。もういいよ、ありがとう」
七瀬「…っ!?…でっ……でも……」
瞳を閉じて肩を小さく震わせている七瀬に、大神は優しく微笑んだ。
大神「誰だって…思い出したくない事の一つや二つはあるもんさ…。みんな、もう質問はやめないか?」
マリア「…そうですね」
カンナ「そうだな。へへっ…」
グリシーヌ「まぁ、大体の事は聞けたしな」
七瀬「…みなさん……ありがとう…ございます……」
七瀬はもう涙を堪えることができなかった。
大神「桜餅…もらっていいかな?」
七瀬「…ぐすっ……。…もちろんですっ♪」
とても良い笑顔だった。
カンナ「そ~そ~!せっかく可愛いんだから、笑わねぇと勿体ねぇよ!なぁ隊長?」
大神「なっ…あ…まぁ…確かに……笑った方が…可愛いと……」
アイリス「あーーっ!!お兄ちゃん赤くなってるぅ~!さくらに言っちゃお~♪」
大神「えっ?!そっ、そんなぁ……。」
皆「「あははははははっ!!!」」
同じ頃…。
さくら「………」
『…マダ全テノ記憶が消エヌトイウノカ…。…ナントイウ強イ想イダ…。…マァヨイ……時ガ全テヲ解決スルダロウ…。フ…フハハハハハハ!!!』
さくら「………」
さくらのぼんやりと開いた瞳からは、涙が流れ続けていた。
次回
『サクラ大戦~夢の通い路~』7:第三章「理由」
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