大神「…ふぅっ……」
さくら「終わりましたね…大神さん」
大神「あぁ…ありがとうさくらくん…」
さくら「いえっ…!そんな……」
顔を赤らめて俯いた。
七瀬「………」
カンナ「へへっ!!やったな隊長っ!!!でも…身体が動かねぇ…」
『あやめ「みんな…よく頑張ったわね…」』
大神「……っ!!あやめさんっ!!」
さくら「えっ…!?」
グリ&ロベ「……??」
大神「理由はわからないけど……あやめさんは、桜樹の中で俺を助けてくれたんだ」
『あやめ「ふふっ…。私はきっかけをあげただけよ。…みんな、昔とは見違えちゃったわ…。ご褒美と言ってはなんだけど……」』
すると空から金色の光が優しく降り注いだ。
アイリス「わぁ~♪あったかぁ~い♪」
ロベリア「身体が…治ってく…」
グリシーヌ「どういう事なのだ一体…」
皆は傷が癒えると立ち上がった。
『あやめ「みんな…今日あった事…想いを一つにした事…忘れないでね?」』
大神「はい…わかりました…」
『あやめ「それじゃあ……。……あ、そうそう!!…大神くん、さくら?」』
さくら「はっ、はいっ!!」
『あやめ「二人とも………お幸せに♪うふっ♪それじゃ、またね!!」』
そして声は消えた。
カンナ「『うふっ♪』って…やっぱり読めねぇな、あやめさんは…」
…ぼんっ!!!
グリシーヌ「…っ!?…この音は…?」
大神「おし、おしあわせにって、ど、どおいう意味だろぉねぇさくらくんっ!?」
さくら「えっ、えとその、あのぉ……」
皆の察しの通り、二人の顔が茹で上がる音であった。
ロベリア「フッ…まぁ…元気出せよエリカ。生きてりゃ良い事ある……って、泣いてんのか??」
肩を軽く『ぽんぽん』と叩いた。
エリカ「…うぐっ…ぅ……ぁ゙ぃ……」
グリシーヌ「…やれやれ…」
『……グ…ァ………』
「「………っ!!!」」
カンナ「なっ!?あの野郎、まだ生きてやがったのかっ!?」
皆は踵を返し即座に構える。
その目線の先には、砂に埋もれながらも微かに息をしている桜樹の姿があった。…恐らくもう、それほど長くはない。
ロベリア「…とっとと片付けちまおうぜ」
七瀬「…あっ……」
さくら「…待って下さい!!」
ロベリア「はぁ?何故止める?お前コイツを許すってのか??」
さくら「そういう訳じゃないですけど…。…もうこれ以上やる必要はないと思います…」
七瀬「…さくらさん…。」
さくら「桜樹からは、いろいろ話を聞かなきゃいけないし、それに……」
さくらは一度俯き、再び顔を上げて言う。
さくら「それに…あたしが初めて桜樹を見た時……なんだかとても寂しそうでした……」
『…………』
ロベリア「…ったく、その甘さにはヘドが出るよ…。……好きにしな」
エリカ「うふふっ♪そんな事言ってぇ~♪本当は優しいんですよね?ロ・ベ・リ・ア・さんっ♪………むぎゅっ!!」
ロベリア「ぐっ…!!…あぁもう!!うるさいなっ!!抱き着くなってのっ!!」
大神「…桜樹…。話を聞かせてくれないか…?」
『……イイダロウ……』
そして桜樹は話し始めた…。
『夢桜』を統一するには、歴史を変えた…もしくは変わった出来事についての主軸の人物が必要。
其れ即ち『破邪の血を引く者…真宮寺さくら』と『帝国華撃団・巴里華撃団隊長…大神一郎』であったという事…。
元は桜の精であったが、『桜』の減少を僅かでも防ぐため、この『桜樹』に憑依したという事…。
『夢桜』さえ開通すれば、誰一人殺めるつもりはなかったという事…。
そして……。
カンナ「そんな…殺す気がなかったって!?だからって記憶を消していいと思ってんのかよっ!?」
マリア「…あなたは何故『夢桜』の統一にそこまでこだわるの??…やっぱり戦争ばかりした人間達への復讐…?」
『…ソンナ事ニ興味ハナイ…。……タダ……』
桜樹は黙り込む。
七瀬「…ただ……なぁに??」
七瀬は優しく尋ねた。
『…タダ……皆ニ逢イタカッタ…。モウ一度……仲間達ニ逢イタカッタ……』
さくら「…っ!?」
桜樹の余りに意外な返答に、皆は一瞬言葉を失った。
アイリス「……アイリスたちの世界にいるお友達に…逢いたかっただけなの……?」
エリカ「…そんな……そんなのって……」
ロベリア「……ちっ……」
すると突然、桜樹の身体が白く輝き出した。
七瀬「っ!?まさか……」
『………。…大神一郎…』
大神「……なんだ…?」
『…強イヤツダヨ…オ前ハ……アラユル意味デナ…。…オ前ヲ慕ウ者達ヲ……大切ニシロヨ……』
大神「…あぁ…わかってる…」
『…七瀬…。…イロイロト…スマナカッタナ…。……幸セニナッテクレ……』
七瀬「…いや……お願いだから…そんな事…言わないで……!!」
七瀬の瞳から大粒の涙が溢れ出る。
『…アッチニ行ッタラ……皆ニ…逢エル……カナ………』
そして目映い光と共に、桜樹は消滅した…。
七瀬「…っ!!……バカ……。………さよなら…」
さくら「…これじゃあ…あたし達が……」
グリシーヌ「…私達にも守るべき仲間がいる。民がいる。私達も、信じる正義のために戦ったのだ…。…間違ってはおらぬ…」
さくら「……はい…」
さくらは袖で、何度も何度も涙を拭いた。
次回
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