大神「……みんな………」
大神は一人佇んでいた。絶望という闇のもとに。
『…ドウダ…?自分ハマッタクノ無力……仲間ヲ助ケラレズ、タダ倒レテユク仲間ヲ眺ムルノミ…』
大神「…………」
『貴様ラハ無力ダ。貴様ガ必死ニナッテ助ケ出シタさくらトヤラモ、結局ハ倒レ…。……マサニ絶望トハコノコトダナ!!フハハハハハハ!!!』
大神「…っ!!貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
感じる恐怖と震える身体を無理矢理抑えつけながら、霊剣荒鷹を眼前に翳し、一直線に桜樹へと向かっていく。
『フハハハハ!!安心シロ、マダ全員死ンデハイナイ…。奴等ニモ絶望ヲ与エネバナァ…。…貴様ノ死トイウ絶望ヲッ!!!』
大神「貴様になど負けはしないっ!!」
大神は桜樹の懐へと潜り込み、真下から斬り上げる。そしてその場で右旋回し、遠心力を利用し水平に斬り裂いた。
大神「まだまだぁっ!!!!」
攻撃は止むことなく、立て続けに斬り込んでいく。
大神「これでとどめだっ!!……狼虎滅却…!!…震・天・動・地!!!」
霊剣荒鷹を軸にし、桜樹の懐で大神の全霊力を爆発させた。
大神「…はぁ……はぁっ……」
爆発の衝撃により、辺りは煙が立ち込めている。
大神「…やったか…!?」
『…カユイナ?』
大神「っ!?ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
煙の中から大神の眼前に現れた桜樹は、肩口の肉を無惨にも切り裂いた。
マリア「…っ!?隊長!!!」
アイリス「お兄ちゃん!!!」
倒れ込んでいる仲間達が次々に呼び掛けていく。
ロベリア「くそっ!!身体が動かねぇ!!…なんで肝心な時に…。……動け……動けよっ!!!」
七瀬「…大神…さん……」
グリシーヌ「くっ…!!…私は自分が……自分が情けない!!!」
エリカ「…さくらさん……さくらさん……」
隣に倒れているさくらへ、か細く…しかし必死に声を掛ける…。…だが気を失っているのだろう、返事はない。
エリカ「…私の持っている全ての霊力を……あなたに……。だから……大神さんを……。さくらさんにしか…大神さんは…護れないんです…。…お願いします…」
そしてエリカは瞳を閉じる。
エリカ「…この地に使わされし…加護の…天使よ…。…光……あれ…。……グラース・オ・スィエル…」
するとエリカの身体は赤く輝き出し、その光はさくらへと注がれていく…。
エリカ「…てへっ……大神さんに……怒られちゃうかもなぁ………」
十字架を握っていた指が次々に解けていった。
大神「ぐ…あ……ぐぁぁぁぁ……」
大神の傷口から、あまりに大量の血液が流れ出る。
『フッ…哀レダナァ…。仲間モ倒レ…自分モ傷付キ…モハヤ絶望ダ…。……。……ナノニ……』
大神「…くっ…!!」
『……ナノニ!!ナンダソノ眼ハ!!!モウ勝ツ術ガナイトイウ事ガワカッテイルノカ!?!?』
そう…。大神はどんなに恐怖に煽られ、どんなに傷付いても、決して瞳は死なない。
そして今も…。
カンナ「へっ…へへ…。馬鹿野郎…。…隊長は……隊長はまだ諦めてねぇんだよっ!!!」
『…ナニ?』
マリア「隊長は…今まで何があっても…どんな敵が現れても、決して諦めはしなかった…」
ロベリア「そいつはねぇ……馬鹿なんだよ。馬鹿みたいに真っ直ぐで…馬鹿みたいに正直で……おまけに馬鹿みたいに熱血野郎ときた…。…この意味がわかるかい…??」
アイリス「お兄ちゃんは、誰よりも1番強いんだよっ!!」
グリシーヌ「あぁ…この私が認めた男だ…。貴様のような三下には負けはせぬっ!!」
『フ…フフ…コノ期ニ及ンデマダソンナ事ヲ…。…ヨカロウ…ソノ減ラズ口ゴト、今スグ消シテヤル!!!』
桜樹は後方に跳び、決着をつけるべく妖力を溜め始めた。
そして全ては終局へ…。
次回
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