~夢桜~
-上野公園-
七瀬「…っ!!!!」
突然『桜樹』から桜色の輝きが放たれた。
カンナ「……へへっ…」
グリシーヌ「まったく…心配をかけよって…」
そして輝きが消えると、皆の前には馴染み深い男女が月夜に照らされていた。
マリア「二人共…よかった…」
大神「…ただいま」
大神はニコッと微笑む。
さくら「皆さん…心配かけてごめんなさい…」
しかし隣に並ぶ大神とは裏腹に、さくらはただただ俯いていた。
カンナ「なぁ~に湿っぽい事言ってんだよ!!」
マリア「私達の声…届いたでしょ?」
さくら「はい…。心の奥に、しっかり響きました…」
大神「みんな、本当にありがとう。…七瀬くん、腕はもう大丈夫なのかい??」
七瀬「…えへっ♪はい!お二人のおかげで、もうこのとーり…」
ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん…!!!!!
大神「そっ…そんなに勢いよく回さなくても…」
アイリス「わぁ~いっ♪」
アイリスは『とてとて』と二人の元へ走っていく。
アイリス「アイリスね、二人の事信じてたんだよ♪お兄ちゃんも…さくらも…絶対戻って来るって…」
アイリスの瞳に、今まで堪えてきた涙が溢れ出した。
アイリス「…ぐすっ……泣きたくなっても…我慢して……ずっとずっと待ってたんだよっ!!」
さくら「アイリス…。……ありがとう…」
そう言って綺麗な金髪をそっと撫でる。
ロベリア「…エリカ、今日はいつもみたいに隊長に抱き着かないのか??」
エリカ「えっ?!……はい…」
ロベリア「……そっか…」
ロベリアはエリカの頭を『ぽんぽん』と優しく叩いた。
カンナ「…それにしても、随分とボロボロになっちまったなぁ、この桜樹も…。死んじまったのかね…?」
カンナがなんの警戒もなく、桜樹へと歩み寄る。
『………残念ダッタナッ!!!!』
七瀬「っ!?ダメっ!!離れて!!!」
カンナ「なっ!?…うわぁぁぁぁあぁぁ!!!!」
桜樹から放たれた漆黒の光により、カンナは遥か後方へと吹き飛ばされた。
大神「…っ!?カンナっ!!」
『…私ガ甘カッタ…。…モウ許サン!貴様等全員皆殺シダッ!!!』
すると桜樹は漆黒の球体に包まれていく。
『…グ…アァァァァァァア!!!!!』
マリア「一体何だって言うの!?」
アイリス「…アイリス…怖いよ……」
さくら「…大神さん……あたし…とても嫌な予感が……」
大神「…あぁ…俺もだよ…」
『……ガァァァァァァァァァッ!!!!』
グリシーヌ「…大地が…揺れている…!!!」
『ッ!!!!!!……。……ハァァァ……』
…輝きは消えた。しかしそれと同時に、皆は自分の目を何度も疑った。
七瀬「…そんな……」
エリカ「…あ……あぁ…」
ロベリア「ったく…。…エンディングはまだおあずけか…」
カンナ「…あいたたぁ…。…ん?…って!!……ありゃ降魔じゃねぇか…!!」
大神「…桜樹が…降魔に…」
『殺シテヤル…貴様等全員殺シテヤル!!!』
カンナ「…なんてこった…。…あたい達が倒した降魔と……ケタが違う!!」
マリア「くっ…!!!」
さくら「…こんな…事って…!!」
『ククク…。私ヲ敵ニマワシタコト…後悔スルガイイッ!!!』
ーーーっ!!!
さくら「…っ!?きゃぁぁぁあぁぁぁぁぁあっ!!!」
叫び声と同時に、さくらはその場へ崩れ落ちた。
大神「っ!?さくらくんっ!!!」
ロベリア「…なんだ…何をしたっ!?…何も…見えなかった……」
『大神…貴様ニ、先程味ワイ損ネタ感情ヲ、モウ一度与エテヤルヨ…』
大神「…なんだとっ!?」
『……絶望ダッ!!!!』
大神「…っ!!!」
次の瞬間、辺りは闇に覆われた。
……絶望という名の闇に……。
次回
コメント