~夢桜~
-桜樹内部-
…何もない…『無』の中で、大神は一人立ち竦んでいた。
大神「……さくら…くん…」
大神の視線の先には、ぼんやりと光を放ち、ただただ一点を見つめている最愛の人の姿があった。
大神「………」
全く生気を感じない。それはまるで、誰にも触れられていない一体の人形のようであった。
大神「…………」
此処に来るまでは、さくらに言いたい事…伝えたい事が数えきれない程あった。…しかし変わり果てた彼女を前に、彼の口からは何も出てこない。
『…ドウダ…?感動ノ対面デアッタカナ??』
大神「……嘘だろ……さくらくん……」
『嘘デハナイ!……イヤ、夢デアッタカ…。フハ……フハハハハハ!!!』
大神「…起きてくれ……また……笑ってくれ……」
さくらの肩を何度も何度も揺する。
大神「……お願い…だから……」
全身がどんどんと脱力していく。
大神「……うわぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」
そして大神はその場に崩れ落ちた。
-さくら-
あたしは何か大切な物を無くしてしまった。でもそれが何なのかはわからない…。
……寂しいなぁ……。
さっきから誰かに呼ばれてる気がするんだけど…誰だろう…??
…一人は……嫌だよ……
『-----』
…っ!?なに…これ……
『米田「さくら!!いい加減目を覚ましやがれっ!!」』
…誰っ!?…さくらって……あたし…?
『紅蘭「目を覚ますんや!さくらはん!!」』
『花火「さくらさん…思い出してください…」』
『コクリコ「みんなで戦った事…みんなで笑った事……全部全部、本当は覚えてるはずだよっ!!」』
……懐かしい…。なんだか……温かい……。
『レニ「さくら…よく考えるんだ」』
『グリシーヌ「其方の居るべき場所はそこではない!!」』
……あたしの……居場所……?
『織姫「さ~くらさーん!!今のままでいいでーすかっ!?」』
『ロベリア「…いいわけないだろ。さくら…お前は今どうしたいんだ?」』
…あたしは……あたしは……。
……思い出したい……。
『すみれ「まったく…。このトッ…………………プスタァの事を忘れたとは言わせませんわよっ!!」』
『カンナ「さくら…。何があっても、あたい達は仲間だ…!!」』
『マリア「私達はあなたを待っているわ…。頑張って……頑張ってさくら!!」』
…仲間……
『アイリス「さくら♪…アイリス…待ってるね。またみんなで一緒に遊ぼうねっ♪」』
『かえで「さくら…思い出しなさい。帝国華撃団、巴里華撃団……あなたの、かけがえのない仲間を…。思い出しなさい、さくらっ!!」』
……みんな……。
『エリカ「目を覚ましてくださいっ!!…大神さんには……大神さんには、あなたが必要なんですっ!!」』
…大…神……さん……??
『「…さくらくんっ!!」』
…っ!!
…もう少し…もう少しなの……
思い出したい…
…思い出したいっ!!
次回
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