『サッカー大戦~蹴れ!高速の蹴球華撃団!~』11:第11節『純心/決着の1ゴール』

サッカー大戦~蹴れ!高速の蹴球華撃団!~
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帝都・巴里共に一歩も退かず、2-2のままとうとうロスタイムに突入してしまった。
 
 
~後半・ロスタイム~
 
エルザ「コクリコっ!」
 
エルザが逆サイドに切り返す。
 
コクリコ「…絶対いれなきゃ…もう時間がないよ…。アイリス!どいてっ!!」
 
コクリコの前にアイリスが立ち塞がる。
 
アイリス「どかないもん!アイリスがとめるもん!」
 
コクリコ「む~~……それならっ!!えいっ!」
 
コクリコは爪先でポンッとボールを浮かせ、アイリスの左手に的確に当てた。
 
アイリス「あっ!!」
 
ピーーッ!!
 
 
ロベリア「いいぞ!フリーキックだ!!」
 
 
ゴールまでは約30M。十分に直接狙える距離だ。
 
 
マリア「あの状態からハンドにさせるなんて…上手いわね」
 
アイリス「ごめんね、みんな…」
 
アイリスは申し訳なさそうに下を向く。
 
すみれ「まぁ…今のは仕方がないですわ」
 
さくら「そうよアイリス。…さぁ!ここで点をとられないように、気合い入れて守りましょう!!」
 
アイリス「……うんっ!アイリス…やっぱりみんなのこと大好き♪」
 
アイリスは満面の笑みを浮かべた。
 
 
 
 
グリシーヌ「…皆!恐らく…これが最後のチャンスだ!全員上がれ!!」
 
チーム巴里のキャプテンであるグリシーヌが、全員に指示を出す。
 
 
花火「わかったわ……ぽっ…」
 
エリカ「はいはいはーい!!エリカ、上がりまーーすっ!!!……ってあれ!?こんな所にウサギさんが…」
 
エリカがふと足を止め視線を下げると、足影からウサギがひょっこり顔を出していた。
 
 
 
ロベリア「(…で?誰が蹴るんだい?)」
 
ヒソヒソ…
 
グリシーヌ「(私でもよいのだが……ここはコクリコでいこう。1番コントロールが良いのでな)」
 
ヒソヒソ…
 
コクリコ「(ボク?…うん、わかった!!任せといて!絶対入れるからっ!!)」
 
 
 
エリカ「こんな所にいたら危ないですよ?ほら、ちょっと離れてて下さいね♪」
 
エリカはウサギを抱き抱えると、公園の端の茂みに連れて行った。
 
 
 
コクリコ「……よしっ!準備OKだよイチロー!!」
 
大神「わかった!じゃあいくぞ……」
 
 
 
エリカ「ばいばいウサギさん♪またどこかで会いましょうね♪」
 
エリカが手を振ると、ウサギは軽く会釈をして茂みの奥に消えていった。
 
エリカ「さてと……。……ん?…あーーーー!!もう始まっちゃう!!!」
 
 
 
ピーーーッ!!!
 
 
コクリコ「…ふぅ~…」
 
深呼吸をし、狙いを定めた。
 
コクリコ「…いくよ!!とりゃあぁぁ!!!」
 
コクリコの蹴ったボールは緩い弧を描き、かなりのスピードでゴールの隅に向かっていく。
 
 
 
エリカ「はぁ…はぁ…ちょっと待ってくださーーーい!!!」
 
エリカは後方から、まるで腹を空かせた猛獣のように、全速力で皆の元へとダッシュする。
 
 
 
カンナ「あたいをナメんなよ…?…絶対止めてやるっ!!」
 
 
 
エリカ「ひぃ…ひぃ…もぅ…なんで…私って…いつも…ドジなんだ…ろう…」
 
 
タッタッタッタッタッ…
 
 
 
カンナ「……今だっ!!届けぇーーー!!!」
 
カンナは思い切り左手を伸ばす。
 
カンナ「おりゃぁぁぁぁ!!!」
 
 
 
バシィィィッ!
 
 
そして拳に力を込め、全力で弾いた。
 
 
グリシーヌ「くっ…惜しい!!しかし、まだボールは生きておる!!」
 
 
 
エリカ「ひぃ…ふぅ…やっと到着………あぅっ!!!!!」
 
エリカは全速力で走っていたため、惰性の勢いで足首を捻り吹き飛ぶようにつまづく…。
 
 
 
カンナ「誰か拾ってクリアしてくれ!!」
 
すみれ「あんな所に……っ!?」
 
弾かれたボールの着地点…そこにはちょうど誰もいなかった。……たった今までは。
 
 
 
エリカ「助けて下さぁ~………ってきゃぁぁぁあ!!ぶつか………ふぎゃっ!!!」
 
 
ドゴガッツン!!!
 
 
 
バシュゥゥゥ…!!
 
 
 
パサッ…
 
 
 
コロコロ…
 
 
 
ロベリア「…な……」
 
コクリコ「うそ……」
 
 
 
ピーーーッ!!
 
 
 
ポカーン
 
 
 
エリカ「あぃたたた……。エリカまたやっちゃいましたぁ~……ぐすん」
 
 
 
カンナ「…完全に…虚を突かれた……」
 
グリシーヌ「ダイビングヘッドならぬ、ダイビングフェイスとは……」
 
 
…そう。『塞翁が馬』と言うべきか…。勢いよく転んだ(吹き飛んだ)エリカの、《顔面》とボールがタイミングよく衝突し、とてつもなく高速なダイビングヘッド…もといダイビングフェイスが放たれたのだ。
 
 
 
ピッピッピーーー!!!
 
 
大神「そこまでっ!試合終了だ!!」
 
 
 
エリカ「…あれ?どうしたんですか皆さん?私の顔なんかジロジロ見て…。はっ!もしかして私の顔にボールの跡がついてて、可笑しくて心の中で笑ってるんですねーーっ!?ひどい…。」
 
エリカの瞳が潤む。
 
 
 
さくら「ふっ…ふふふ……」
 
 
皆「あはははははっ!!!」
 
 
エリカ「あっ!やっぱり……皆さんヒドイですー!…うぐっ…」
 
 
皆の額に流れる汗は、嘘偽りなく青空のように澄んでいた。
 
 
 
 
次回

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