『サクラ大戦~夢の通い路~』27:終幕「夢の通い路」

サクラ大戦~夢の通い路~
スポンサーリンク

 
 
-日本・帝都-
 
チュンチュンチュン…
 
大神「……んん……朝か……」
 
ベッドから起き上がり、大きく伸びをした。
 
大神「もう桜の季節か…。…今年も綺麗だな…」
 
窓から外を覗き込み、季春の風に暖かさを感じていた。
 
コンコンコン
 
さくら「…大神さんっ♪朝ごはんですよ♪」
 
大神「あぁっ!今行くよっ!!……桜…か……。……気のせいかな」
 
なにかが大神の脳裏を過ぎった。
しかし考えてもらちがあかないので、着替えて髪をセットすると、大神は足早に部屋を後にした。
 
 
-食堂-
 
さくら「おはようございます大神さん♪」
 
大神「おはようさくらくん」
 
アイリス「おはよ、お兄ちゃん♪」
 
大神「あぁ、おはようアイリス」
 
エリカ「おはようございます大神さん♪」
 
大神「おはようエリ………って!!なんで君達がここにいるんだっ!?」
 
グリシーヌ「何寝ぼけた事を言っておるのだ。久しぶりの再会だというのに……まったく…」
 
花火「ふふっ…大神さんったら………ぽっ…」
 
大神「(そ、そうだった…。昨日から巴里の皆が遊びに来てたんだっけ…)」
 
すみれ「どうでも良いですけど、早くお座りになってくださらない?」
 
大神「あぁ…ごめんごめ……ってわぁっ!!すみれくんまで…」
 
すみれ「まっ…『まで』とは失礼ですわね…」
 
カンナ「もぅいいから早く食べようぜ!!せっかくの料理が冷めちまうよっ!!」
 
大神「そ、そうだね……疲れてるのかな…おれ…」
 
「「いただきま~す!!」」
 
大神「(……桜か……。なにか…忘れているような……)」
 
ロベリア「どうしたんだ隊長?アンタが考え事なんて…珍しい事もあるもんだね」
 
大神「いや…。………」
 
 
 
ガタッ!!
 
大神はその場で立ち上がる。
 
 
大神「みんな…食事が終わったら『お花見』をしないか??」
 
さくら「わぁ♪いいですねっ!!やりましょうよっ!!」
 
コクリコ「やったぁ!!桜だ桜だぁ~♪」
 
マリア「フフッ…今の時期が1番綺麗でしょうね…」
 
織姫「『お花見』とは、ピクニックですかハイキングですかバイキングでーすかっ!?」
 
レニ「織姫…全部違うし最後のおかしい…」
 
紅蘭「ウチも全然構いまへんけど…どこに行くんや??」
 
大神「…そうだなぁ……」
 
 
 
-上野公園-
 
エリカ「わぁーーーっ♪ほんっっ………ケホッ………っっっとに綺麗ですねぇ!!!この世にこんな綺麗なものがあったなんて…エリカ大感激でーすっ!!………むぎゅっ」
 
ロベリア「あぁもうっ!うっとーしいな…!!…抱き着くなよいちいちっ!!!」
 
 
大神「でも本当に綺麗だ…。特にあの真ん中にある1番大きな桜の樹……」
 
さくら「はい…。なんだか伸び伸びと…幸せそうに咲いていますね♪」
 
ドキッ♪
 
大神「あっ…あ、あぁ……」
 
大神は、『さくら』に「『桜』がとても良く似合う…」…と言いたかったのだが、照れ臭くてやはり言えなかった。
 
 
すみれ「ちょっと中尉!!はやく何かおつまみでも買って来て下さいな!!」
 
大神「おつまみって…真昼間からお酒を飲むのかいっ!?」
 
すみれ「当たり前でしょう!!…『お花見』には『お酒』と、むかぁ~しから決まっているのですわっ!!」
 
織姫「おぉ!!『花よりタンゴ』ってやつでーすね♪」
 
レニ「織姫…それも違う…」
 
大神「わかった…行ってくるよ…」
 
さくら「あっ、あたしも行きますっ!!」
 
 
 
大神とさくらは『おつまみ』を買うために園内を歩き回っている。
 
大神「はぁ…。これだけ出店が多いのに、なかなか見つからないもんだねぇ…」
 
さくら「……見つからなくていいです……」
 
大神「えっ…?」
 
言葉と同時に、さくらは俯き赤面しながらも、そっと大神の手を握った。
 
大神「さくらくん…」
 
さくら「…まだ…見つからなくていいです…」
 
握る手に少し力を込める。
 
大神「あぁ…そうだね…」
 
そして大神もそれに応えた。
 
さくら「…大神さん…」
 
顔を伏せ続ける。
 
さくら「いつも…二人で……これからもずっと一緒に……いてくれますか…?」
 
大神「……もちろんだよ…君は俺が守る。…ずっと一緒にいよう」
 
さくらは大神の肩に寄り添った。
 
 
 
『-----』
 
 
 
さくら「…今あたし……とても幸せです……。」
 
大神「あぁ…俺も………」
 
 
 
「はぁーーい♪そこの幸せそぉ~なカップルさん!!お酒のおつまみに『桜餅』はいかがですかぁ~♪」
 
 
大神が言いきる前に、張り上げた女性の声が割り込んできた。
 
大神「なっ、なんだ…!?」
 
さくら「なんか…『桜餅』どうですか……って…」
 
 
 
『「…はふぅ~…おいしい…」』
 
 
 
大神「…桜餅……」
 
さくら「…これにしましょうか!買いますっ♪」
 
「ありがとうございまぁ~す♪1パック6個入り、50銭です♪」
 
さくら「じゃあ…3パック下さい♪」
 
「はいは~い♪では、1円と50銭になります」
 
さくら「1円50銭ですね。え~と…」
 
 
「………。……私…この場所には、とっても大切な想い出があるんです…。やっと…思い出せたんですけど…」
 
女性はそっと俯いた。
 
さくら「…想い出…ですか…?」
 
 
 
『「……夢のように…全てを忘れてしまうかもしれないけれど……」』
 
 
 
「だからこの時期には、これから毎年、ここに来ようかなぁって思って…」
 
大神「(…何だ…?……なにか大切な事が……)」
 
 
 
『「…それでも、私も皆さんの事を忘れませんっ!!」』
 
 
 
「……やっと…桜の季節になりましたね…。…私…大好きなんです……桜が……」
 
 
 
『「…桜の季節に……必ず…必ずまた皆さんに逢いに行きますっ!!」』
 
 
 
大神「…………」
 
「…あっ……ご、ごめんなさい!!私、一人で変な事ばっかり言って…。……今のは…忘れちゃってください……。……おつりおつりっと……」
 
大神「……桜……」
 
 
 
『「…私は…桜の精ですからっ♪」』
 
 
 
大神「………っ!!!」
 
 
 
……想いは繋がった……
 
 
 
大神「……七瀬くん……」
 
 
「………っ!!!!」
 
 
さくら「……あっ……!!」
 
 
その女性の頬を、一筋の涙が伝う…。
 
 
大神「…皆、きっと七瀬くんの事を待っている…。……行こうっ!!!」
 
七瀬「……はいっ!!」
 
七瀬は満面の笑みを浮かべた。
それは涙に溢れていたが、今までで1番可愛い笑顔であった。
 
 
 
 
…人は皆、夢を見る。
 
夢の中で男女が逢う道、即ち夢路。
 
…すぐに消えてしまう…はかない夢……。
 
…しかし皆は忘れない…。
 
信じ続ける限り…想いは繋がるから……。
 
 
 
……桜の見る夢は……
 
 
……終わらない……。
 
 
 
『サクラ大戦~夢の通い路~』-完-
 
 
 
 

一話まとめ
・サクラ大戦~alleluia~

404 NOT FOUND | 桜七革命-DecadeZERO-
サクラ大戦・アイマス等アニメやゲームの二次創作WEB小説(短編・長編・SS)を投稿しているブログです!

・サクラ大戦~夢の通い路~

404 NOT FOUND | 桜七革命-DecadeZERO-
サクラ大戦・アイマス等アニメやゲームの二次創作WEB小説(短編・長編・SS)を投稿しているブログです!

・サッカー大戦~蹴れ!高速の蹴球華撃団!~

404 NOT FOUND | 桜七革命-DecadeZERO-
サクラ大戦・アイマス等アニメやゲームの二次創作WEB小説(短編・長編・SS)を投稿しているブログです!

・『サクラ大戦〜短編集〜』:『温泉パニック』

404 NOT FOUND | 桜七革命-DecadeZERO-
サクラ大戦・アイマス等アニメやゲームの二次創作WEB小説(短編・長編・SS)を投稿しているブログです!

コメント

タイトルとURLをコピーしました