-巴里・ブルーメール邸-
グリシーヌ「…優雅だ…」
彼女は自室にて、緩やかに過ぎていく時間を楽しんでいた。
グリシーヌ「…心を静め、管弦楽を聴きながら飲む紅茶は正に格別……」
そっと紅茶を口にする…壁に立て掛けている愛斧を見つめながら…。
グリシーヌ「…過ぎ去りし時も…かげかえのない足跡…。…優雅な一時は、私に新たな考え方を与えてくれるものだな…。…………ん?」
ダダダダダ………。
廊下が少し騒がしい。
グリシーヌ「……気のせいか…」
そしてカップを再び口に近付け……
エリカ「鬼さんこっちら♪」
織姫「手の鳴る方へでーす!!!!!!」
アイリス「キャハハっ♪こっちだよお兄ちゃん♪」
グリシーヌ「…ぶっ!!!!けほっ…けほっ……ま…まさか……」
あまりに突然の事態にむせ返ったグリシーヌの、あまりに嫌な予感は見事に的中する。
ガチャ!!!!
織姫「ちょっとお邪魔するでーす!!」
アイリス「なんだかドキドキするね♪♪」
グリシーヌ「な、何事だ一体!?」
エリカ「『鬼ごっこ』ですよ♪今は大神さんが鬼なんです!!」
アイリス「グリシーヌも一緒にやる?」
グリシーヌ「やるわけがなかろう!!…それより、此処が何処であるかわかっておるのか…?いつ忍び込んだ!?」
エリカ「どこって…グリシーヌさんのお家ですけど…」
織姫「忍び込むなんて失礼でーす!!さっきタレブーサンにも許可もらいました!!」
グリシーヌ「私に断らず、よくもそうぬけぬけと…。タレブーは一体何を考えておるのだ…」
グリシーヌの顔は呆れ返っていた。
アイリス「グリシーヌのお家はおっきいから鬼ごっこにピッタリなんだよ♪」
大神「もう…皆どこに行ったんだ…」
エリカ「あっ!!大神さんが来ますよ!!みなさん早く隠れて下さいっ!!」
ごそ…
織姫「もう!!仕方ないですねぇ…」
ごそごそ…
アイリス「じゃあグリシーヌ!アイリス達が隠れてる事お兄ちゃんに言わないでねっ!!」
ごそごそごそそ…
グリシーヌ「ちょっ、ちょっと待て!!…それに、それは俗に言う『かくれんぼ』なのでは…」
コンコン
大神「グリシーヌ!ちょっといいかい?」
ドアの向こうから困り果てた声がする。
グリシーヌ「っ!?あ…あぁ…」
ガチャ
大神「やぁグリシーヌ。ちょっと聞きたいんだけど…」
グリシーヌ「…あ、アイリス達なら此処にはおらぬぞ!」
大神「あれ?なんで聞きたい事がわかったんだ?」
グリシーヌ「へっ?!あ、あぁ…え、えと…あのだな………そう!!先程《まで》此処にいたのだ!!」
大神「そうか…。じゃあ、何処に行ったか知らないか?」
グリシーヌ「あぁ、アイリスはそのソファーの裏、織姫はバスルーム、エリカは暖炉の中に……」
大神「ほっ、本当かいっ!?」
グリシーヌ「…はっ!!いっ、いたら良いのにな!!はは…」
織姫「(あの『馬海賊娘』何やってるでーすか!!)」
ひそひそ…
アイリス「(せっかく隠れたのにぃ~っ!!)」
グリシーヌは極端に嘘が苦手だった。
エリカ「(もうこうなったら逃げましょう!室内だっしゅあるのみですっ!!)」
ひそひそひそそ…
アイリス「(そうだね…。…よぉ~しっ!!)」
ぐらっ
するとソファーが大胆に傾く。
大神「…あっ!!アイリス!!よーし…!!」
大神はアイリス向かい一直線に走り出す。
グリシーヌ「やはり…『鬼ごっこ』なのだな…」
ダダダダダダッ………!!!!
アイリス「アイリス絶対捕まんないもんっ!!」
大神「アイリス捕まえ………ったぁぁぁぁぁ!?」
大神がアイリスを追い詰めたその刹那、彼女は霊力の結晶となり、部屋の入り口までテレポートをしたのだ。
大神「そんなのありかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?!?」
しかし、当然のように大神の勢いは止まらない。彼は真っ直ぐ壁に立て掛けてある『戦斧』へと………
ドガン!!!!!
パリン!!!!!
ぱらぱら……
エリカ「おっ、大神さんっ!?!?」
織姫「これまたド派手にやっちゃいましたね…」
アイリス「お兄ちゃん……生きてる…?」
果たして大神の運命は…?そして戦斧の運命はっ…!?
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