『サクラ大戦~夢の通い路~』9:第四章「星空のもとに」



-夜-


大神「………。……さくらくん…」

コンコン

誰かが大神の部屋をノックする。

大神「あ…今開けるよ」

ガチャ

大神「……エリカくん…どうしたんだい、こんな時間に…?」

エリカ「夜遅くにすみません…。あの~…もし今お暇でしたら…少し付き合ってもらえませんか??」

大神「いいけど…どこへだい?」

エリカ「ふふ…付いてきて下さい♪」

そう言うとエリカは、大神の腕を取った。

エリカ「…着きました。ここです!」

大神「ここは…?」

エリカ「昨日見つけたんです…。ここからなら、星が綺麗に見えるんじゃないかなぁって思って…」

そこはホテルから少し離れた場所にある、傾斜の緩い丘だった。

大神「……あぁ…。確かに綺麗だ…」

エリカ「私…星って大好きなんです。星空を眺めていると、私も頑張って輝かなきゃって思えるから…。星空は、私に希望をくれるんです」

星空を見上げながら、エリカはそっと続けた。

エリカ「昨日…大神さん、七瀬さんが泣きそうな時に『もういいよ』って言ってましたよね…。あれ…凄くカッコ良かったです」

大神「そ、そんなこと……」

エリカ「『誰だって、思い出したくない事の一つや二つあるもんさ』って言ってましたよね…」

大神「…あぁ…」

エリカ「私思うんです。『思い出したくない過去』も…それは自分が生きてきた証なんだって…。確かに、『思い出したくない過去』なんて、あっても辛いだけ…無くなっちゃえばいいって思います…。でも……」

大神はただ黙ってエリカの横顔を見つめていた。

エリカ「『辛かった』って思えるのって…すごく幸せな事だと思うんです。…今の方が幸せだから、『辛かった』って思えるんだし……何よりも、今自分は生きている…。悲しい事があったらみんなで泣けて、嬉しい事があったらみんなで笑える…。…そんな当たり前の事が、何よりも幸せな事だと思うんです」

大神「…そうだね…。1人じゃないことがどれだけ幸せな事なのか…華撃団の皆に教えてもらった気がするよ」

エリカ「……あの…大神さん?」

大神「…なんだい?」

エリカ「さくらさんを…信じてあげて下さいね」

大神「エリカくん…。」

エリカ「『桜樹』は記憶を消すって言ってましたけど…。大丈夫です。さくらさんは、絶対大神さんを忘れたりしませんっ!!…希望は捨てないでくださいね」

大神「…あぁ。」

エリカ「…私に誓って下さい。…この星空のもとに……さくらさんと幸せになるって……」

エリカの頬を冷たく、真珠のように美しい涙が伝う。

大神「誓うよ…この星空のもとに…」

エリカ「………」

エリカは涙を必死に堪えながら俯いた。

エリカ「……私が…。…こんなに……こんなに…大神さんの事…大好きな…私が……身を引いたんです……。……幸せにならなきゃ……許しませんよっ!!!」

大神「……あぁ!」

エリカは大粒の涙が溢れ出している顔を、大神の胸に埋めた。

エリカ「…大神さん……ほんの少しでいいんです…。ほんの少しだけ…このまま……」

満天の星は、二人を照らし続けていた…。



次回

『サクラ大戦~夢の通い路~』10:第五章「満月の夜」
そしてとうとう満月の夜…。大神「…みんな…準備はいいか?」カンナ「あぁ!腹ごしらえも済ませたし…いつでもOKだ!」グリシーヌ「必ずさくらを救出するぞ!!」ロベリア「ま…とっとと片付けちまおうぜ…」七瀬「皆さん…本当にありがとうございます…。…もう何て言ったらいいのか…」アイリス「いいのっ!これはアイリス達の意志なんだから♪」大神「…よし…行くか!!」

にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
スポンサーリンク

シェアする