『サクラ大戦~夢の通い路~』4:第二章「桜の精」



カンナ「なんかスゲェ事になってきたな…」

エリカ「『実は熟し』ってどういう事なんですか?イマイチよくわからなくて…」

七瀬「…記憶を無くす…と言えば理解しやすいと思います。完全に全ての記憶が消えた時、存在そのものが『無』となり、夢桜は一つに…」

大神「………!!」

その場にいた全員が、一瞬息を飲んだ。

アイリス「さくら、いなくなっちゃうの?!」

カンナ「ふざけんな!!さくらが一体何したってんだよ!場所教えろ!あたいが今すぐ連れ戻す!!」

大神「カンナ!一旦落ち着いてくれ!まずは状況を整理するんだ!」

カンナ「なんでだよ!隊長は心配じゃねぇのかよ!?」

大神「…もちろん不安さ。怖くてたまらないよ。でも…さくらくんは絶対に救い出す。そのためにも、今は俺達が落ち着かないといけないんだ」

大神の瞳は、真っすぐだった。

カンナ「隊長……。…すまねぇな。隊長が一番辛いってのに…」

大神「いや、いいんだ。ありがとう、カンナ」

カンナは鼻を掻きながら、恥ずかしそうに相槌を打った。

マリア「七瀬、続きを聞かせてくれる?」

七瀬「…はい。ただ、記憶が消えるのにもそれなりの時間がかかります。いまならまだ間に合うはずです。ただ助け出す方法が正直わかりません…。でも、黙って見過ごすわけにはいかないのです!!皆さんの力が…必要なんです…」

七瀬は申し訳なさそうに俯いた。

ロベリア「……。…いい加減、本当の事吐いたらどうだい?」

グリシーヌ「…っ?!それはどういう事だ?」

ロベリア「…もともと『華撃団』は極秘機密組織だ。なぜそいつを知っているか…。第一、異世界がどうのとか、破邪の血の断絶だとか…。普通の人間にしちゃ知り過ぎってもんさ…」

七瀬「……」

ロベリア「アンタからは嘘の匂いがしてならないんだ。…全部吐かないと…アタシも黙っちゃいないよ!」

そう言うと、ロベリアは右手に炎を灯す。

七瀬「わっ、わかりました!言います!!」

七瀬は観念したかのように目線をロベリアに向けた。


七瀬「私は……」


皆「私は……??」



七瀬「桜の精なんです」



ポカーン



七瀬「ほらぁー!やっぱり信じてくれない!!だから言いたくなかったんですよぅ!!」

七瀬は瞳を潤ませながら、またペンギンのように腕をパタパタさせている。

大神「…ど…どうしようか…?」

アイリス「み、みんなお兄ちゃんと同じ気持ちだよ…たぶん」

ロベリア「…はぁ…マジになったアタシが馬鹿だったよ…」

皆は『桜の精』発言に呆れ返っていた……一人を除いて。

エリカ「きゃあぁぁ~!!あなたが本物の桜の精さんですか!?私、前からずっとあなたのファンだったんです!!握手してもらえますか!?」

エリカは半ば強引に七瀬の手をとる。

七瀬「しっ、信じてくれるんですかっ?!」

エリカ「もっちろんです!!あぁ…桜の精さんと握手できるなんて…エリカ大感激ですっ!!!」

アイリス「(あ~あ…エリカは完全に信じちゃったよ…。)」

ヒソヒソ…

カンナ「(ん~まぁ良いんじゃねぇか?悪いヤツじゃなさそうだし)」

ヒソヒソ…

グリシーヌ「(…まぁどのみち、さくらを助け出さねばならぬしな)」

ヒソヒソ…

マリア「(じゃあ決まりね)」

七瀬「ちょ、ちょっとそこ!またヒソヒソして……」

大神「七瀬くん、俺達も協力するよ!一緒にさくらくんを助け出そう!」

七瀬「へっ?……はいっ!!」

七瀬は満面の笑みを浮かべた。

マリア「…そういえばまだ聞いてなかったけど、何故私達7人だけなの?」

七瀬「私は、他の夢桜の住民を『7人』までしか呼ぶ事ができないのです…」

カンナ「おっ、それで華撃団の中でも霊力の高いあたいらが選ばれたってわけか!!」

七瀬「いえ、華撃団という以外は適当です。」

カンナは椅子からずり落ちた。

アイリス「アイリスなんだかお腹減ったよ…。夢の中でもお腹って減るんだね」

七瀬「あっ、そういう事でしたら…」

七瀬は立ち上がり、戸棚から皿に溢れんばかりの桜餅を取出す。

七瀬「さぁ!お腹壊すほど召し上がってください♪」

エリカ「はいはいはーい!お腹壊しちゃいます!!」

すぐさま桜餅に噛り付く。

ロベリア「大丈夫なのかホントに…」

グリシーヌ「似ているな…あの二人…」

大神「は…はは……はぁ…」

それぞれが不安を抱えながらも(例外有り)七瀬と共にさくらを助け出す決心をしたのであった。




次回

『サクラ大戦~夢の通い路~』5:第三章「桜樹」
-上野公園-大神「…この桜樹に…さくらくんが…??」大神・七瀬達は、問題の桜の樹を見上げていた。真宮寺さくらを助け出すために。カンナ「本当にこんなとこにいるのかよ?ただの桜じゃねぇか。」腰に手をあて、はぁとため息をついた。七瀬「すみません…。私も、さくらさんがここにいるって事しか知らなくて……どうすれば出てくるとか、どうすれば中に入れるとかまでは……」

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