『サクラ大戦~夢の通い路~』3:第二章「もう一つの世界…夢桜」



大神「…ん…。…こ…こは……?」

大神はゆっくり目蓋を開く。
そこには見慣れた天井が広がっていた。

大神「ここは…。俺は夢でも見ていたのか…。………これはっ?!なんでこんな所に!?」

枕元に見覚えのある刀が添えてある。
……それは正しく、真宮寺さくらの愛刀…『霊剣荒鷹』であった。


ガチャ


??「気が付きましたね」

綺麗な桜色の長い髪、桃色の瞳をもち、黒のタンクトップにジーンズ、そして革のジャケットを羽織った女性が、突然ドアを開け部屋に入って来た。

大神「…君は?」

??「隣の部屋で、あなたのお仲間さんが待っています。…全てはそこで……」

大神「…仲間だって?」

大神は言われるままに隣の部屋へ移動した。

大神「…っ!みんなっ!!」

マリア「隊長っ!!」

グリシーヌ「隊長まで…なぜだ…??」

大神「みんな…なんでここに…!?」

ロベリア「それはこっちが聞きたいよ。……ったく…」

??「これで全員です」

アイリス「全員って…お兄ちゃんいれても7人しかいないよ?!レニとか紅蘭は!?」

カンナ「どうなってやがんだ一体…」

エリカ「いい加減教えて下さいよぉ~!もう気になって気になって朝も起きれません…」

ロベリア「それはいつもだろうが!」

??「…わかりました…お話し致します」


彼女は着ていたジャケットを近くの椅子に掛けると、ゆっくりと語り始め…

七瀬「コホン!私の名前は『華咲 七瀬(はなさき ななせ)』!彼氏は随時募集中♪好きな食べ物は桜餅☆AB型で水瓶座の、ちょっぴりシャイな20歳の女の子です★あ、気兼ねなく『七瀬』って呼んでくださいね♪……ぽっ…」


皆「…ポカーン……」

七瀬「あっ、あら?えと…私があなた達をこの世界に呼びました!」

グリシーヌ「(…つ、ツッコミ所満載だが、まぁ目をつぶってやろう…)」

ヒソヒソ…

アイリス「(桜餅が好きなんだって…)」

ヒソヒソ…

カンナ「(とてもシャイには見えねぇよな…。なんか珍しいカッコしてるしよぉ…)」

ヒソヒソ…

エリカ「(でも悪い人にも見えないですね)」

七瀬「ちょっ、ちょっと!!ヒソヒソ話してないで、ちゃんと質問して下さいよ!!」

両腕をパタパタさせながら吠えた。

マリア「…なら質問させてもらうわ。まず…、ここは何処なの??」

七瀬「日本ですよ。『帝都』にあるホテルです♪…でも……」

エリカ「…でも?」

七瀬「あなた方がいた『帝都』とは違います。同じようでいて異なる世界…。私達はこのような異世界の事を『夢桜』と呼んでいます」

マリア「異世界ですって??…そんなものが…」

七瀬「えぇ…。たとえば……」

すると七瀬は近くの戸棚から桜餅を取り出し、突然食べ出した。

アイリス「あっ…たべた」

皆あっけにとられている。

七瀬「…もぐもぐ……ゴックン。…はふぅ~…おいしい…」

ジーッ

皆の視線が七瀬に冷たく突き刺さる。

七瀬「…はっ?!すみません…!コホン…。このように私が今桜餅を食べたことによって、幾つもの世界…『夢桜』が創られます。…桜餅が無くなった世界…、…私が桜餅を食べなかった場合の世界…、私がエリカさんに桜餅をあげた場合の世界…、などですね」

エリカ「あ~ん、エリカ桜餅食べたかったです…」

七瀬「もちろん、こんな些細な事では『夢桜』は生まれません。もっと大きい、歴史を変えるような出来事の場合に限りますけどね」

大神「じゃあ、この世界を創り出した出来事もあるのかい??」

七瀬「はい…。……。…破邪の血の断絶です…。さらに『華撃団』が存在しないという事も…。」

グリシーヌ「なんだとっ!?」

マリア「破邪の血の断絶…。…さくらが存在していないって事…??」

ロベリア「フッ…そんな馬鹿げた話、アタシが信じるわけないだろ。」

七瀬「信じて頂けなくても構いません!…私に力を貸して頂けたらそれだけで…。」

グリシーヌ「……。…ここが帝都ならば、この世界にも隊長や私達は存在しているという事か?」

七瀬「わかりません…。存在はしているかもしれませんが、霊力は全く目覚めていないでしょう…」

ロベリア「……」

アイリス「アイリス達はどうやってこの『夢桜』まで来たの??」

七瀬「『夢桜』を行き来するには、眠り…夢を見ている事が条件となります」

カンナ「で…あたい達が夢見てる時に、七瀬が引っ張り出したって事か」

大神「…さくらくんは一体何処にいるんだ!?なんでここに『霊剣荒鷹』が…」

七瀬「さくらさんは…恐らく上野公園にいます…。『霊剣荒鷹』はそこで拾いました」

大神「なんだって!?」

七瀬「『桜に生け贄を捧げよ さすればやがて実は熟し 夢は交わるだろう』」

エリカ「?なんですかそれ??」

七瀬「…さくらさんは生け贄にされたのです…。この世界とあなた達の世界……『夢桜』を一つにするために!!」




次回

『サクラ大戦~夢の通い路~』4:第二章「桜の精」
カンナ「なんかスゲェ事になってきたな…」エリカ「『実は熟し』ってどういう事なんですか?イマイチよくわからなくて…」七瀬「…記憶を無くす…と言えば理解しやすいと思います。完全に全ての記憶が消えた時、存在そのものが『無』となり、夢桜は一つに…」大神「………!!」その場にいた全員が、一瞬息を飲んだ。

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